ライター/編集者の池田園子が同世代(86〜87世代)の旬な人に「仕事の話」を伺う連載です。
好きなことを仕事にする――。そんなライフスタイルに憧れる女性は少なくないのでは? 大学2年生のとき『あいのり』メンバーとして、世界を旅したあと就職し、現在はフリーランスで活動するRemiさんは、ライフワークである旅を仕事にしている女性です。個人で旅に恋する情報マガジン「Lovetabi」を主宰するRemiさんに、仕事の話を伺ってきました。
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旅の仕事を受けるうちに、自分のメディアを持とうと決意
質問
池田: 2015年2月にLovetabiを開設したきっかけは何でしたか?
回答
Remiさん(以下Remi): 商社で3年勤めたあと、結婚して専業主婦をしていました。昔『あいのり』に出て旅をしたり、旅のブログを書いたり、それを機に旅の本『LOVE旅』を出版したりしていたからか、2014年頃から旅のお仕事をいただくようになったんです。
主に「旅へ行ってブログを書く」といったお仕事を受けているうちに、これがライフワークになればいいな、と強く感じるようになったんです。商社時代にも仕事で海外に行く機会はありましたが、それは自分のしたい旅ではなかったので。
そんな旅の最中にトラベルライターの方々と知り合い、彼女たちが自身のメディアを持ち、プロデュースしているのを見て、「私もやってみたい!」と思うようになったのも大きなきっかけです。また、まわりに発信力があるにも関わらず、その「場所」がない女性がたくさんいたので、彼女たちが発信する場として使ってほしい気持ちもありましたね。
Webサイトに関する知識ゼロではじめた
質問
池田: Lovetabi開設当時のエピソードを教えてください。
回答
Remi: サイト名から「愛」にちなんで2月14日にオープンしましたが、作ろうと思い立ったのは年末でした。かなりギリギリですね。しかも、「サイトってどう作るんだろう?」みたいな超初心者です。
でも、作ろうと決めてからはすばやく行動し、ドメインを取得したり、Web制作ができる知り合いに連絡したり、とわからないなりに走り出していました。
開設時には7〜8人のライターを抱えて、なんとかオープンしたという感じです。とにかく「箱」はできた! と。開設後もデザインの改良は続けています。
「いつかやりたい」で止まるのはもったいない
質問
池田: Remiさんのように、新しい仕事を創っていく人にとって、大事な要素は何だと思いますか?
回答
Remi: 「思ったらすぐ行動すること」でしょうか。Web制作に関してほとんど知識がない状態でサイトを作った私はそういうタイプだと思います。「いつかやりたい」「でも今はちょっと」みたいな声はたくさん聞きます。でも、今すぐには実行に移せなかったとしても、調べるくらいの準備はできますよね。
私はTo doリストに線を入れてくのが好きです。それに、やりたいことを書き並べて、今できることからやってみたら、他にやれることが見えてきたり、充実したりするのではないかと思います。
実際に自分がやりたいことを既にしている人に会って話を聞くのもおすすめです。知った上で諦めたほうが、知らないまま諦めるより、割り切れるでしょうし。
周囲にやりたいことを話すのも効果的です。「それなら〜な人がいるよ」と周りが引き寄せてくれたり、つなげてくれたりします。だから、臆せずに口に出してみてほしいですね。
ライターの個性や魅力を丁寧にウォッチ
質問
池田: サイト主宰者として心がけていることは何ですか?
回答
Remi: Lovetabiは旅好きな女性たちが発信する場として作ったものですが、半分は「旅を広めたい」といった目的で、私自身のために運営しているサイトです。
だからこそ、ライターにもLovetabiで書くメリットを享受してほしいと願っています。一緒に取材旅行に行くことで新鮮な体験をしたり、反響を得る喜びを感じたり、活躍の場を広げたり。
また、ライター一人ひとりにキャラがあるので、書いてもらうテーマを分けています。「〜の取材なら◯◯ちゃん」と適切に振り分けられるよう、各自の個性や得意分野などはじっくり見ているつもりです。
仕事をいただいたら自分も旅に出ますが、人をキャスティング・マッチングさせるのもすごく楽しいんです。根が仕切り屋気質だからなのかもしれませんが。
「子連れ旅」の楽しみ方を発信したい
質問
池田: 今後Lovetabiやその他のお仕事を通じて実現したいことは何ですか?
回答
Remi: よく「子どもができる前に旅行に行かないと」とか「子どもができたら旅行できない」といった話を聞きます。なんとなく子どもが障害になっているニュアンスが、ちょっと悲しいなぁと感じていました。
私は子どもの頃、旅好きな母にきょうだいと一緒に、いろいろなところに連れていってもらった経験があり「子どもがいても旅は楽しめるよ」と伝えたい思いがあります。まだ私に子どもはいませんが「子連れでも旅を諦めない」というキーワードで、今後発信していきたいです。
これまでは海外旅行のお仕事を多くいただいてきましたが、これからは子連れの国内旅行を強化してピックアップできたらと思います。個人的には子連れ×ラグジュアリーといった、特別感のある旅をテーマにしたい。
母がやりたいこと(旅)を犠牲にしている、と感じるのは決していいことではないですよね。旅は子どもにとってもいい経験だし、母がリフレッシュできる大事な時間でもあります。
ライフステージによって、そのときどきに合う旅がありますから、そのときにしかできない旅の楽しみ方を提案していきたいですね。
▽ Remiさん
1986年生まれ。広島出身。東京外国語大学卒業後、大手商社に勤務。結婚退職後、現在はフリーランスのプロデューサーとして「Lovetabi」を主宰。英語版サイトも準備中。自身で旅に出て記事執筆、編集も行う。Twitter、ブログ